「教えるのが上手な人」は、どんな人だと思いますか?
教える内容について詳しく知っている人でしょうか?
どんな質問にでもスラスラ答えてくれる人でしょうか?
それとも、面白い説明が出来る人でしょうか?
「その分野に詳しい」=「教えるのが上手」?
もちろん「教える内容について十分な知識がある」ことは重要です。
でも、「その分野に詳しい」人なら誰でも「教えるのが上手」というわけではない、と私は思っています。
もし「その分野に詳しい」=「教えるのが上手」だとしたら、大学の授業はどれも面白くて、みんな寝ている暇なんかないはずですよね(笑)。
中には話が面白くて人気のある先生もいますが、学生の顔も見ずに、ずっと明後日の方を向いて喋っているような先生も少なくありません。いや。むしろほとんどの…(以下自主規制)
教え方が上手な人の特徴
教えるのが上手な人には6つの特徴があります。
それでは順番に見て行きましょう。
1 内容について十分な知識がある
あたりまえのことかもしれませんが、教える内容について100%、出来ることなら120%理解していることが大切だと思います。
なぜでしょうか?
〇教える人が内容について100%分かっている場合
教える人がどんなにがんばっても、100%そのままを相手に伝えることは難しいのです。
- 教わる人がどのくらい興味を持っているか
- 予備知識はあるか
- 理解力の違い
などに左右されてしまうからです。
そうすると、実際に相手に伝わるのは90%だったり、80%だったり、70%だったりするわけです。
90%や80%ならOK、70%でもだいたい伝わったと言えそうですね。
〇教える人が内容について80%分かっている場合
実際に相手に伝わるのは70%、60%、50%になってしまいます。
50%は元の半分ですから、残念ながらほとんど伝わっていないと言うことになってしまいます。
教える人は、その内容について100%理解していることが必要です。
2 相手に合わせた言葉を使って話す
教える相手に合わせて、使う言葉や話す内容を変えることが大切です。
同じ職場の人や、予備知識のある人となら、専門用語を使って話をしても問題ないでしょう。
けれど、相手が教える内容について何も知らなかったら?
専門用語を使って説明しても、全くわかってもらえません。
〇わかりにくい言葉を使った説明は上手く伝わらない
例えば「インターネットプロバイダ」という言葉について説明する場合を考えてみます。
試しにウィキペディアを見てみましょう。
インターネットサービスプロバイダ(英語: Internet Service Provider)とは、インターネット接続の電気通信役務を提供する組織のことである。
プロバイダやISPなどと略して呼ばれることが多い。
日本では、電気通信事業者であり、インターネット接続事業者(略して接続事業者)と訳されることがある。
あれ?日本語で書いてあるのに言葉が難しくて良くわかりませんね。(これは予想外の展開でした…)
このように、相手がわからない(わかりにくい)言葉を使った説明は、上手く伝わりません。
〇分かりやすい言葉を使った説明はうまく伝わる
もっと簡単な言葉を使って説明してみましょう。ついでに少し情報を追加してみます。
「プロバイダ」とは、インターネットにつなげるサービスをする会社です。
インターネットにつなぐ時に必要な IDやパスワードを発行し、メールアドレスやホームページ開設などのサービスもあります。
相手がインターネット初心者で、「ID」「パスワード」などの言葉の意味が分からない場合には、
「ID=名前」
「パスワード=鍵」
このように、誰にでもわかってもらえる言葉へ置き換えて話すと、さらに伝わりやすくなります。
〇専門用語も身近な言葉に置き換えれば、子どもにも伝わる
今度は、子供に教える場合を考えてみましょう。
「プロバイダ」「ID」などの専門用語を、子供も良く知っていてイメージが沸きやすい言葉に置き換えて説明してみましょう。
「プロバイダ=港」
「IDとパスワード=船」
「インターネット=海」
インターネットは情報の「海」みたいなところです。世界中のいろいろな写真、音楽、文章などがあります。
でも、広い海に、そのままいきなり飛び込むことはできません。
「港(プロバイダ)」で、あなた専用の「船(IDとパスワード)」を貸してもらうと、いろいろなところへ、自分の好きなものを探しに行くことが出来るようになります。
このくらいなら、小さな子供にも分かってもらえそうですね。
教える相手に合わせた言葉、誰でも知っている言葉を使うと、分かりやすい説明になります。
3 相手をよく見て、理解する
教える相手をよく見て、
「どこまでわかっているか」
「どこがわかっていないか」
「話を聞いてくれているか」
を見抜くことが大切です。
そのためには、まず相手をよくよく観察してみましょう。
「どのくらい興味を持っているか」
「予備知識はあるか」
「得意なこと」
「苦手なこと」
教える人がどんなにたくさん知識を持っていも、相手を見ないで一方的に話していては上手く伝わりません。
それでは単なる自己満足になってしまいます。
相手をよく観察して、
「苦手なところ」
「わかっていないところ」
を見つけたら、そのポイントをていねいに説明します。
教える相手を理解していると、その人に合わせた話し方ができるので、内容が伝わりやすくなります。
4 気持ちが動くポイントをつくる
感情を伴う経験は、記憶に残りやすいと言われています。
子供の頃の出来事をあまり覚えていない人でも、ひとつかふたつ、はっきりと思い出せる記憶があると思います。
「近所の犬に追いかけられてすごく怖かった!」
「初めて自転車に乗れるようになって嬉しかった!」
説明の中に「おもしろい!」「楽しい!」と思えるポイントや、「なるほど!」と納得できるポイントをつくるようにすると良いと思います。
5 良いところをみつけて褒める
どんな小さなことでも、良いところを見つけて褒めましょう。
一生懸命やっている人に、いきなり「そんなやり方ではダメだ」などの言葉は厳禁です。
せっかくのやる気が絞んでしまいます。
大人はもちろん、特に子供は否定的な言葉に敏感です。
例えば、跳び箱を練習している場面を考えてみます。
- 「そんな踏み切り方では飛べるようにならないよ!もっと強く踏み切って!」
- 「君は手のつき方が上手だね。でも、もっと思い切って踏み切ると、次はうまく飛べるかもしれないよ!」
あなたなら、どちらの言葉をかけてほしいですか?
人は褒められてこそ伸びると思います。
6 「わかりましたか?」を使わない
「わかりましたか?」という言葉は使わない方が良いと思います。
意外に思われるかもしれません。
普段の生活でもよく耳にする、そして、ついつい使ってしまう言葉ですよね。
先生:「わかりましたか~?」
子供達:「は~い!」
一見、微笑ましい光景に思えます。
でも、毎日何年も繰り返していると、「わかりましたか?」の問いかけに、ほとんど条件反射のように「はい。」と答えてしまうようになるのではないでしょうか。
そして、そのまま大人になってしまう人も少なくないような気がします。
個人的には、「幼稚園、小学校の悪しき習慣」くらいに思ってしまいます。
〇「わかりましたか?」という言葉の問題点
- わかっていない人は、そもそも自分がわかっていないことに気づいていない場合が多いので、条件反射で「はい。」と言ってしまいます。
- 自分がわかっていないことに気づいている人も、質問するのは面倒なので(自分が困る場合をのぞいては)「はい。」と言ってしまう人がほとんどです。
- それでは、だいたいわかる、でもまだ少しわからないところがある人はどうでしょうか?
残念ながら、(よほど自分が困る場合をのぞいては)わざわざ質問する人はあまりいないのではないかと思います。
そして、とりあえず「はい。」と言ってしまいます。 - よくわかった人は、もちろん心の底から「はい。」と言うことができます。
このように、「わかりましたか?」という漠然とした質問には、ほぼ全員が「はい。」と答えてしまうことが問題なのです。皆が「はい。」と答えたら、教える側は「皆が自分の説明をわかってくれた」と思ってしまいます。
でも、本当のところは一人一人に確かめなければ分かりません。
〇では、何と言えば良いのでしょうか?
「わかりましたか?」という曖昧な言葉は使わずに、もっと具体的な質問をしてみましょう。
教えた内容について、相手に簡単な説明をしてもらうのも良いかもしれません。
その答えを聞けば、相手が「どこまでわかっているか」「どこがわかっていないか」わかるはずです。
「わかりましたか?」という問いかけは、相手に伝わったかどうかを確かめることはできません。
まとめ:「教え上手になるための6つのポイント」
教え上手は説明上手?
あらためて考えてみると、「人に何かを教える」ことは、「自分の知識や経験を、説明して相手に伝える」ということです。
「教えるのが上手な人」=「説明が上手な人」とも言えそうですね。
「教える」という言葉を聞くと「先生」が思い浮かぶかもしれませんが、教えることは先生だけの仕事ではありません。
- 先輩が後輩に仕事を教える
- お父さんが子供に逆上がりを教える
- お母さんが子供にお味噌汁の作り方を教える
誰かに何かを教える時には、この6つのポイントをぜひ思い出してみてくださいね。
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